7月、球技大会、夏休み ページ6
暑さが更に酷くなる7月。
プール授業が開始した。けど教員達はプール授業は無いので室内で授業だ。
それから少しすると球技大会がある。教員達の格好は体育祭と似た感じだった。
つまりヘッケンローゼ先生は真っ黒長袖衣装。彼が暑がっていないのは知ってるけど、見てる方が暑いんだけど。
それから、夏休みが始まった。
「生徒のみんなや他の先生達と会えないのがなんだか寂しくなるなー」
自室で呟いてみる。ミオソティス先生は博物館巡りでダーリア先生は遠出らしい。ミュゲート先生は食べ歩きで……ヘッケンローゼ先生は何をするんだろ。
他の先生に聞いても「知らない」としか返ってこなかった。何気に謎が多いなあの先生。
「まー、とりあえず素材集めに山にでも行こ」
×
「あ、ヘッケンローゼ先生じゃん」
「なっ、何故ここに……トレーフル先生?」
近場の山に行ったらヘッケンローゼ先生が魔物を狩っていた。夏場は遊びに行く人が増えて魔獣も増えるからね……ってなんでさ。
「錬金術用の素材を集めに来たんですけど……」
ヘッケンローゼ先生、結構軽装だけどガチモンの魔物狩りの服じゃないですか。ここは危険度1の場所だけれど、どこまで行く気?
「ヘッケンローゼ先生は何をしに? と言うかどこまで行く気ですか」
「……素材集めです。危険度3の場所まで」
じ、と見つめながら聞けば意外と素直に答えてくれた。
「危険度3! 何倒すんですか?」
そんなところまで行くんですか! やばい!
「ゴーレムを。石が必要になったので」
「へぇー」
話によると占星術で使う材料集めらしい。
「わたしも付いて行って良いですか?」
と言うか付いて行く! ゴーレムの素材、丁度欲しかったんだよね。
「……分かりました。良いですよ。ただし、自身の身は御自分で守ってくださいね」
×
瞬殺だった。
いや、正しくは宝石魔法らしい『闇茨』でゴーレムを拘束した後で魔法でゴリ押しして倒したんだけど。思ったより早かった。
そしてわたしはただ見守るしかできなかった。迫力がやばかった。
「材料はいくつか差し上げます。余ったものを売りに行きますので」
「ありがとうございます!」
ただ付いて行っただけだったけど、材料をくれた。優しい!
ヘッケンローゼ先生が少し笑ったような気がした。だけれど顔を見た時にはいつも通りの無表情だったので確証はない。
それから夏休みの数日間、わたしはヘッケンローゼ先生について行って、魔物狩りに出かけたのだった。
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作者名:鬼灯 | 作成日時:2024年4月10日 14時