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「私も異性だよ?」
佐「うん。それはそーなんだけどね。
俺らやっぱりAちゃんが心配で、あの後照と話したの」
「ちょっと座ろっか」ってお家の目の前の公園のベンチに並んで座る。風でブランコが静かに揺れた。
佐「俺さーAちゃんの大丈夫って信じてないの!」
「え?」
佐「だって大丈夫じゃなくてもそう言うもん…
引っ越しもなんとかするから大丈夫ーって言ってどう見ても悩んでるのに1人でやっちゃおうとするし、友達の家に居るっていうのも嘘でしょ?」
「…なんで」
佐「見てたら分かんのー!唯一の同期だもん。」
「同期」という関係性を大事にしてくれているさっくん。
歳は私の方が3つ下だけど、今の園に就職した年が同じで。
「年齢も歴も気にしなくていいよー」って新卒で右も左も分からなかった私に対等な目線で接してくれた。
佐「Aちゃんのこと送って帰った後にね、やっぱりAちゃんうちに住ませてあげれないかな?って照を説得しようとしたの。でもね、しなくて良かった。」
「え?」
佐「照ね、もうその時にはラウのじいちゃんに話つけてくれてたんだよ」
ーーー…「入居希望者が居ること、オーナーに伝えておくんで。」
そう言ってくれたひかるさんを思い出す。
佐「照が一番あの家に住んで長いから、オーナーとも仲良くてね。必然的にラウールのことも可愛がってて…まあそれはみんなそうなんだけど。」
へへって照れたように笑うさっくんはいつも子どもたちに向けているのとおんなじ優しい目をしていた。
佐「だからラウのこととなると心配性になっちゃうのよ照って。Aちゃんと張るくらいねー」
「えー?私 心配性?」
佐「そーでしょ!心配性で強がり」
他にも属性がどーたら言ってるけど一旦それは聞き流しとくとして。
…でも、守るべき存在の前では誰しもそうなるのかもしれない。心配して、強くあろうと踏ん張って。私たちの職業にも通ずるところがあると思うし。
佐「そんな照がAちゃんなら大丈夫かもーって受け入れてんの。最初は警戒してたけどね?」
「なんで?私がラウールくんに危害を加えない確証なんてどこにもないのに…」
佐「そういうとこじゃない?」
「え?」
すくっと立ち上がったさっくんが手を差し出す。
佐「照に直接聞けばいーよ」
重ねた手をクッと引かれて距離が近づく。
月明かりに照らされたさっくんが朧げで、思わずその手首に掴まった。いや…捕まえた。
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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時