SN橙�� ページ19
sideむかい
ケーキ食べてもらおってなって、紙皿とフォークをAさんに手渡したあと。
どこ食べよっかなー、なんてケーキの様子伺ってんの、めっちゃかわええ。
そして食べるところを近くに置いてあったナイフで切り分け紙皿に載せた。
あかん、なんか目で追ってしまう。そんなじっと見つめたらオレの気持ち気付かれてまうのに。不自然にインライで使ってたスマホに目を落とす。
でも食べてるところ見たいって気持ちは抑えられず。
「んーおいしー。」
美味しそうにケーキ食べてるAさん。めっちゃ幸せそうな顔してる。
「あ、鼻にクリームついてんで。」
……自分でもビックリした。
だってAさんの鼻のさきっちょについたクリーム、自分の指で取って、そのままぺろっと食べちゃったから。
こんなんカフェで恋人とやることやん。普通はたぶん指摘するだけでオレが拭うってことないと思う。あるとしてもティッシュとかで、やろ？
「やっぱおいしいなー。」
「あ……ありがとう、ございます。」
自分でやっといて照れるのはおかしいやろと思い、なんとか気にしてない風を装って言葉を続けたんやけど、Aさんからの返答は思いもよらない雰囲気で。
明らかに照れてる。
……そりゃAさんだって照れることはあるよ、見たことあるもん。でもこんなわかりやすく、顔真っ赤で固まってんの、見たことあらへん。
そしてフリーズしてたのに気付いたんか、慌ててフォークをまた動かしだすAさん。
その様子をニコニコしながら見てるオレ。
彼女からかってる彼氏って感じやない？うわ、ニヤニヤ止まらへん。
……もしかしたらあるかもな、希望。脈アリってやつ？
そのあとはオレもケーキを切り分けてパクパク食べたんやけど、頭の中Aさんがそこかしこにいて味に集中できなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1202人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みどりの | 作成日時：2023年5月30日 5時
