にかちゃんだよ〜とは言えない【番外編】 (ページ3)

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SN緑② ページ3

sideにかいどう

最近Aの様子がおかしい。以前阿部ちゃんと舘様を家に呼んだときには、早くお酒飲みたい！と事務所からの帰り道ウキウキしてたのに、今回はどうだ。

「ちょっとのっぴきならない用事ができて……。」

「マジ？ならしょうがないか。オレらだけで飲むわ。用が済んだらその後からで参加でもいいし。」

「だね、用が済んだら。」

二階堂家での阿部ちゃんと舘様参加の宅飲み、当日の朝Aにのっぴきならない用事ができたとのことで最初からの参加が難しいらしい。

なんとなくだけど、あえてのっぴきならない用事を作ってるように見える。さすがに30年近く一緒にいるからなんとなく分かるよ。

用が済んだら、もなかなか怪しい。本当にギリギリに帰ってきてちょっとしか関わらないんじゃないかと思う。

「阿部ちゃんと舘様には伝えてる？」

「それは昨日のうちに。」

「そっか、ならいいか。」

その会話のあと、愛車を発進させる。今日は時間が合ったから一緒に事務所に行くことにしたんだよね。

後部座席で仕事用のタブレットとにらめっこしているA。ミラー越しにその姿を見るけれど、こう見ると妹感がまったくないんだよな。本当に一社会人。

「A、着いたよ。」

「……あ、ごめん、降りるね。」

まずはAが降りて先に事務所に入る。それを見届けてからオレが降りるんだけど。

……あれは、阿部ちゃん？違う方向からやってきた阿部ちゃんに声をかけられてかなりびっくりしているA。肩がビクッとはねて片足後ずさっていた。

ボーッとしてたのかな。その後は普通に一緒に歩いて行ったけど。

……って、オレは何を見てんだ？なんか雑誌の記者になった気分なんだけど。アイドルの熱愛記事……は？オレ何考えてんの？玄関で偶然会ったメンバーとマネージャーじゃん。

「あそういえば、今日の朝、事務所入るとき阿部ちゃん、Aと同じタイミングだったね。」

「あれ、二階堂くんいましたっけ？」

「オレ、Aが中入ってから車出るようにしてるから。」

「……ああ！今日は一緒に？」

「そうそう。」

事務所で阿部ちゃんと舘様を拾っておつまみを買い込んで。今は宅飲みの時間だ。

ふと思い出して朝のことを阿部ちゃんに話してみる。というかそうだよな、明らかに回りに誰もいなかったのになんで俺が知ってるんだってなるか。