SN緑�� ページ8
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返事をすれば、やったぁ！と喜ぶ阿部ちゃん。
……だめだよその笑顔。好きって気持ちが抑えられなくなる。
でもなんでわざわざそんなことを聞いたのかな。聞かなくても普通に送ってくれていいのに。ドキドキする胸を抑えてチラッと阿部ちゃんの表情を覗く。
もちろんさっき見た笑顔なんだけど、ちょっと顔が赤いようにも見えて。……なんで？
「……オレの顔、なんか付いてる？」
「付いてはないです！……暑いのかなって思って。」
「あーやっぱ赤いか。Aちゃんと二人だからドキドキしちゃって。」
ドキ、ドキ？
私じゃなくて阿部ちゃんが？それってただ久しぶりだから緊張してって意味でいい？
……もしくは私と同じ理由？
その考えが思い浮かんだ瞬間、私もジワッと身体が熱くなってくる。顔まですぐ伝わったらしく、阿部ちゃんがちょっと慌てだした。
「えっと、やっぱり暑いかな、窓開ける？」
「大丈夫です……私も同じ理由なので、阿部ちゃんと……。」
言ってしまったなこれ。私と同じ受け取り方されたらバレるぞこれ。やばいなこれ。「これ」しか思い浮かばなくなってるし。
顔を見て言えるわけがなく目線を下げていたけれど、恐る恐る顔を上げてみる。
「……Aちゃん、自惚れでもいい？」
「……それなら、私も自惚れていいですか？」
「え？本当に？」
本当に、ってそれは私のセリフだ。これまであちら側からの好意があるだなんて考えもしなかった。それは阿部ちゃんも同じだったらしい。
そっか、そうだったんだ、うわーって阿部ちゃんがアワアワしていて。私も脳内パニック状態。好きって言葉がなくても通じ合ったという点もポイント高いとか思ってしまったり。
「好きだよ、Aちゃん。」
はっきりと告げられた阿部ちゃんの気持ち。
それ以上のことを阿部ちゃんが言及しないこともよく分かっている。この関係に別の名前をつけてはいけないから。
「私も好きです、阿部ちゃん。……両片思いってことですね。」
「そうだね。両片思いでいよう。今はまだ。」
「今はまだ」。私もまだその関係でいいと思っているから、頷いて微笑み返す。
阿部ちゃんも好きでいてくれて、私も好きでいていいという事実。ふわふわして地に足がついていない感覚だ。
「じゃあ、これからもよろしくね？」
「はい！」
最後に握手してミーティングルームを後にする。
ここから片思い……いや、両片思いの時間が始まる——。
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作者名：みどりの | 作成日時：2023年5月30日 5時
