SN黄�� ページ10
sideふかざわ
今オレの目の前には絶賛打ち合わせ中の岩本さんとマネージャーのAちゃん。もちろんオレも打ち合わせメンバーの一人なんだけどさ、なんか入って行きづらいのよ。
考えること放棄してるとかそういうのじゃないよ？ただね、オレが割って入っていいのか？って思っちゃうの、岩本さんの目を見てると。
「……で、ここはこの腕の動き？入れたくて。」
「はい、えっともう一回いいですか、動画撮ります。」
「うん、準備できたら教えて。」
今はとある曲の振り付けについてAちゃんにちょっと相談してるところ。
振付師はMr.岩本だから自由に決めてもらっていいんだけど、まずはAちゃんに見てもらうことにしていて。
Aちゃんはダンスが得意とかじゃないからいいのに……って言ってたけど、Mr.岩本的には一番に見てもらいたいらしい。
オレもね、よくAちゃんと同じタイミングで見せてもらうことがあるんだけど、いないものとして扱われてんだよねー。だってオレの方見ないんだもん、岩本さん。
「準備できました。回していいですか？」
「ん、OK。」
サビ部分を踊る岩本さんとそれを撮るAちゃん。そしてそれを真横から見てるオレ、深澤。
なんかこう見てるとMV感あるくない？失恋ソングみたいなやつね、過去の思い出ムービー部分。オレの立ち位置から二人の思い出カメラに収めてるような感じ。
失恋どころか恋も始まってないけどね！
「ふっか何ニヤついてんの。」
「ふぇ？ニヤついてねーよ！」
「そっか？振りで気になるとこあるなら言ってよ。」
「振りに関してはなんもない！これぞMr.岩本って感じだし。」
「じゃあ振り以外？」
「まあ、あるっちゃあるけど……。」
なんでこんな時妙に鋭いんだ？2人見て失恋ソングのMVみたいな構図だなってめっちゃ仕事関係ないこと考えてたとか言いづれえよ……。
うまく濁せなくて余計気になってしまった岩本さんの無言の圧がすごい。仕方ねぇ、岩本さんにだけこそっと言っておくか。
「いやあのね、オレの位置から見たら、岩本さんとAちゃんが失恋ソングのMVでありそうな仲良かったあの頃みたいな映像っぽくてさ。」
「なんだそれ。……いや、そうかもな。」
「でしょ？恋始まってないのに失恋ってなんだよって話だけどさ。」
「あ、ああ！そうだな。」
……ん？なんか変な反応じゃないか、岩本さん。
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作者名：みどりの | 作成日時：2023年5月30日 5時
