内緒で付き合ってます

◎３５ ページ35

江口side



アイツ(井上)に屋上で話した日
俺はこっそりボイスレコーダーを持って、
全部会話を録音していた。



情けないけどこうするしかなかった…。



匿名で週刊誌に売りつけ、世間にバッシングされ、
この業界からも勿論叩かれ、引退したとか…。



やり方が汚いとか言われても仕方ないと思う。
だけどこうすることでしかAちゃんを助けることが
出来なかった。



正直アイツと遭遇した時はラッキーと思った。
本音を聞いた時ははらわた煮えくり返る思いしたけど
これでAちゃんの笑顔が戻るならいいと思った。






江「ただいま」




「拓也くんっ！おかえり」






……ほらね？こんなにも可愛い笑顔で出迎えてくれた
俺の愛おしい人。







江「……もう大丈夫？」





「…うん、なんか予想外の展開になっちゃったけど笑」





江「ね、俺もびっくりした」







「お酒って怖いな〜笑
拓也くんも気をつけてね？」







江「俺はそんなに酔いません〜」






「どうだか…？笑」






江「こんにゃろ！笑」






「いひゃい！」





結果はどうであれ、Aちゃんがまた俺の隣で
笑ってくれること、
こうやってふざけあえることがどんなに幸せか。





江「変顔でも可愛いな〜笑」






「…ふん、知らない。」







江「Aちゃん、」






「……」







江「Aちゃんは世界一可愛いよ」







「…そんなこと、」







江「あるの。だからAちゃんにはずーっと
笑っててほしいの。」






「…うん、」






江「だからさ、」






こっそりポケットにしまっていた小さな箱を取り出して
彼女の前に差し出した。






「…え、」





ロマンティックなことや
かっこいいシチュエーションとか出来ないし、
金遣い荒くて貯金もないし酒飲むことしか出来ない俺だけど
それでもAちゃんの隣にずっといたい。
だから、






江「俺と結婚してください」








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