紅一点のトリコ！ (ページ40)

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モヤモヤ × 青ページ40

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渡辺｢さっき話してた人さ、｣

『ん？』

渡辺｢廊下で話してたじゃん、仲良いの？｣

『あー、前の現場が一緒だったからちょっと話してただけだよ』

渡辺｢ふーん｣

賑やかな楽屋の中、私たち2人は端っこの椅子でスマホをいじって各々の時間を過ごしていた。
突然隣にいた翔太くんが口を開いたと思えば、先程私が廊下で話していた男性の俳優さんとの関係のこと。飲み物を買いに行くついでに廊下でたまたま会って少しばかり世間話をしていたのを見られていたようだ。

渡辺｢Aってさ、いろんな人と連絡先交換すんの？｣

『連絡先？んーよっぽど仲良い人じゃないとしないね』

渡辺｢…仲良くなったら男でも？｣

『え？』

渡辺｢ごめん、なんでもない｣

『…私のトーク画面みる？笑』

渡辺｢いや、いい笑｣

翔太くんが探るように踏み込んだ質問をしてくるのは珍しい。私がどんどん疑問の顔になっていたのか、目があった瞬間にごめんと謝られた。

『翔太くんがそんなこと言うこと珍しいね』

渡辺｢そう？俺結構Aには感情むき出しな気がするんだけど｣

『意外と踏み込んだ質問はしてこないじゃん？』

渡辺｢…まあ、たしかに｣

『だから普通にびっくりしちゃった』

渡辺｢…いや、なんかさ…、｣

やけに歯切れが悪い。スマホを机の上に置いて耳を傾けると翔太くんはバツの悪い顔で口を開いた。

渡辺｢初めて知らない男と話してるA見たから。カメラも回ってない、俺らもいないところで…｣

『うん？…わっ、』

目を合わせたいなと思い、顔をのぞき込みながら相槌を打つと突然翔太くんに抱きしめられる。
これは、拗ねてる。そのまま翔太くんは何も言わなかったため、私も背中に腕を回して撫でてみるとまたギューっと抱きしめられた。

渡辺｢俺のモヤモヤ消えろ！｣

『ちょ、痛い痛い笑』

渡辺｢うるさい｣

『ええ？』

渡辺｢Aは俺らだけで十分なんだって、分かれよ｣

翔太くんはそう言うと私の肩に顔をグリグリと押し付けてきた。
…私だって、翔太くんが綺麗なタレントさんたちと話してたらちょっとだけモヤモヤするんだよ？
その気持ちを隠すように次は私からギューッと抱きしめた。

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